とりねこ日記

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村上春樹の「村上RADIO」が教えてくれた上半身と下半身のバランスの重要性と、すき焼きみたいにブラボーな人生について

村上春樹

 

YouTube村上春樹さんの「村上RADIO」を聞いていたら、本人がこんなことを言っていた。

 

下半身が安定しないと書けないんですよ文章って。下半身がしっかりすると上半身が柔らかくなるんです。そうすると文章がうまく書けるようになるんですね。 

 

これを聞いた私はすぐに、

 

文章は下半身で書くものなのか

 

という結論に導かれて、なんだか妙に納得してしまった。村上さんの言葉を自分なりに解釈しアレンジして、勝手に道筋をつけて導いた独断まみれの結論なのだが、新しい事実に世界で初めて光を当てた気分になって気に入ってしまったのである。まあ自己満足もはなはだしいですね。

 

村上春樹さんはもう35年間、毎年フルマラソンを走っているほどのマラソンオタクで『走ることについて語るときに僕の語ること』という一見謎解きのようなタイトルのマラソンに関するエッセーも出している。

 

しかもコンスタントに小説を出してもいる小説家なので、「下半身が安定しないと文章は書けない」という言葉にはかなり説得力があるなぁと感じるのである。

下半身の安定が上半身の安定につながりバランスが良くなる

下半身の安定が上半身の安定につながるという論理は、肌感覚で分かる気がする。安定は柔軟性を生み出し体幹も鍛えられる。そうすれば床や椅子に座っていてもすぐに疲れることもないし、集中力も持続するのだろう。

 

あと体幹が鍛えられれば血流も良くなって、脳も活性化してくる。脳の活性化は文章を書くうえでもかなり力を発揮する。ひらめき、アイディア、パワーワードやパワーフレーズの生産、明快な論理、言葉と言葉のつながりの的確さなんかにも有効なはずだ。

バランスをとる人

 村上春樹さんの小説家としての無双状態がしばらく続いていたのも、この「上半身と下半身の安定やバランス」が一端を担っていたのかもしれない。でもノーベル文学賞の候補になってもなかなか受賞できないのは、その安定やバランスがまだ不足しているということなんだろうか(きっと違うと思うが)。

 

陸上選手に限らず、アスリート全般を見ても下半身だけ筋肉ガチガチに武装して、上半身は脂肪をぶら下げている人なんてのはいない。長い時間走り続けたり、不意の展開になってもうまく切り返して柔軟に対処できるようになるには、上半身と下半身のバランスがとても重要なのである。

 

メッシが足を出されても体当たりされても、ボールをコントロールしながらなかなか倒れないのも、この上半身と下半身のバランス感覚が絶望的すぎるくらいに優れているからだ。

 

そうしてスポーツに限らず、人生という長い道のりを走り続けるにもやはりバランスが肝なのは言うまでもない。

肉体としてのバランスと人間としてのバランスの相互関係

普通にマラソンを早く走るには肉体のバランスは必要だけど、人間性としてのバランスは不要だ。どんなにサイコパスシリアルキラーで嘘つきで親不孝で裏切り者なサノバビッチ野郎でも、誰よりも早くマラソンを走ることはできる。

 

でも人生というロング&ワインディングロードを走り続けるには、肉体のバランスと同時に人間性としてのバランスがとても重要である。まあ当たり前ですね。

 

ここで「じゃあ肉体のバランスと人間性のバランス、どっちが大事なんだ」という野暮でナンセンスな疑問が一瞬ふっと思い浮かんでしまうが、もちろん優劣をつけることはできない。

自転車

 「肉体のバランス」と「人間性のバランス」という両輪が、呼吸を合わせて回転することで初めて完璧なバランスが生まれてくるものだからだ。

 

だけど実際の話、肉体が鍛えられれば精神も鍛えられるという人もいるのだが、僕はあまり明確な根拠はないと思っている。

 

スポーツ選手でも素晴らしい人間性を持っているケースはある。鋼の肉体を持っていても、メンタルは豆腐並みの選手だっている。誘惑に負けて負けて負け続けて、ついに犯罪者になってしまう有名スポーツ選手もいる。

 

結局は肉体もメンタルも、意識して鍛えなければなかなか強化されないものと思っていいかもしれない。

鍛錬してすぐに効果が出やすいのもメンタルだし、出にくいのもメンタル

肉体の鍛錬は即効性はないけど、時間をかければ着実に成果が出てくるものだ。

 

一方でメンタルや人間性の場合、鍛えようと思えばすぐに成果が出やすい場合がある。でも、いくら自己啓発書なんか読んだりして鋼のメンタルを手に入れたと思っても、ちょっと気を緩めるとメッキが剥がれて「あぁやっぱりなんも変わってねえわ」と激しく落ち込む羽目になることもある。

 

つまりすぐに変わる部分と変われない部分があるわけだ。きっとその人がもともと持っている人間的性質に大きく左右されるんじゃないだろうか??悲しいけど、遺伝的要因というのはなかなかあらがえない。

 

根っこがクズ質のものであれば、強制外科手術的に取り除くしか方法はないし、他の部分で補うしかないのである。

すき焼きみたいにバランスよく生きて充実した人生を送る

すき焼き

 突出した才能があれば、多少バランスを欠いてもなんとか生きていけるものだ。でも僕もそうだが、たいていの人は平凡な能力をなんとか最大限に発揮して細々と生きていくしかない。

 

そのためには、この記事でも何度も言っていることだが、バランスが何より重要だと思っている。

 

下半身を安定させて上半身とのバランスをはかり、同時に人間性とメンタルを時間をかけて理想形へと変化させる。

 

その結果として、柔らかい牛肉に甘辛い割り下、そしてマイルドな卵が最高の美味さを引き出しているすき焼きみたいに、バランスよく生きていければ文句なしにブラボーじゃないですか。

 

YouTubeで村上RADIOを聞いている限り、村上春樹さんは人間性やメンタルもそれなりに鍛えられていてバランスが良いように思える。低音のバリトンボイスとか朴訥としたしゃべり方が、その印象を強めているのかもしれないけど、肉体と精神のバランスが取れているように感じるのである。

 

だから長い間、人気小説家としての不動の地位をずっと守っているのだと思える。まあ本人は守っているつもりなんて1ミリもないかもしれないけど。