ヒゲに憧れて伸ばし始めたが、ダンディズムや男らしさが感じられるかどうかは別問題だ / 岡田准一、槇原敬之などから考察してみる
新型コロナで巣ごこり生活を余儀なくされてからというもの、無精ヒゲを伸ばすことが多くなった。
社会生活を営んで以来、ヒゲを伸ばしたまま生活することなんてほとんどなかったタイプである。「外出する際には必ずシェーバーでヒゲを剃るべし」という条文が、日本国憲法に記されているんじゃないかっていうくらい固く遵守していたのだ。
だけど外出する機会がめっきり減った今では、その条文もいつの間にか斜線が引かれて法的効力を失ってしまった。
それ以来、鏡の前で中途半端に伸びた無精ヒゲを撫でたり、清潔感のカケラもないその無精っぷりを確認する日々が続いていた。もういい加減、自分の怠惰さとかゲスいルックスに嫌気がさしたりしていたが、一週間ぐらい伸ばしているとだんだん印象が変わってきた。
今までは自分自身を「ヒゲの似合わない男」のサンプルくらいに思っていたのだけど、「実はわりと似合っているんじゃないか?」と、思い始めてきたのだ。危険な兆候だ。
更に「だったらこの機会にもっとヒゲの似合う男に進化してやろうか」とか「ダンディズムをアピールしてモテたらラッキーだぜ」と色気を出してきたのだから、なんともタチが悪い。見た目でモテようという発想がジュニアハイスクールレベルだし、それがオッサンの脳内に充填されてしまったのだからまったく凶悪的すぎる。
ヒゲに対する好みや印象は男女によってけっこう違いがありそうだ
女性に対して男のヒゲへの印象調査を調べていたら、どのアンケートでも8割くらいの女性が「ヒゲが嫌い」と答えている。好き派と嫌い派にはっきり分かれてるってことはなんとなく理解していたが、ここまで嫌い派が多いとはちょっと予想外である。
嫌いな理由の圧倒的1位が「不潔だから」ということらしい。自分でもおおむね不潔さは感じていたから、清潔感を求める女性にとっては数万倍「生理的に無理」なんだろう。
「ダンディズムとかワイルドさをアピールしてあわよくばモテてやろうか」とちょっと希望を持っていた身としては、返り討ちにあった気分である。残りの2割に刺さればいいだろが!と強がりをいいたいところなのだが、この惰弱な“にわか”ヒゲ野郎は内心尻込みして、早くも自信喪失気味である。もう恥ずかしさで体温が急上昇しそうだ。
でも一方で、男の同性に対するヒゲの印象はおおむね良いのではないか。残念ながらアンケート調査があるのかどうかも分からないが、女性の好き嫌いの割合を入れ替えたらそのままアンケート結果として一致しそうである。まあ世代によって違いはあるかもしれないけれど。
僕はといえば、ヒゲの似合う有名人を見るとちょっと憧れてしまう。20代のころはまったく憧れはなかったが、年齢を重ねてオッサン化していくにつれてヒゲに対する憧憬がふつふつ湧いてくるようになった。特に童顔でずっと貫録少なめで生きてきたから、余計その傾向が強いのかもしれない。
大人の男、ダンディズム、貫禄、人間としての深み、謎めいた危険さ…この期に及んでそういうものを本能的に求めているのだ。人間というのは、自分に持っていないものをとかく求めがちなのである。
ダンディズムを体現したカッコいいヒゲ系有名人8選
ところでヒゲの似合う有名人といえば、山田孝之、岡田准一、阿部寛、竹野内豊、浅野忠信、オダギリジョー、キンコンの西野亮廣、吉田鋼太郎なんかがすぐに思い浮かぶ。
岡田准一はヒゲを伸ばしていない頃はまだひ弱なアイドル感が圧倒的に強かったが、ヒゲを伸ばしてからは貫禄がついて、すっかり俳優然としてきた印象がある。阿部寛や竹野内豊、吉田鋼太郎はもうダンディズムしか感じないし、キンコンの西野は「できる男」的な雰囲気が出ていてちょっとカッコいい。
山田孝之とオダギリジョーは似合っているが、ちょっとヒゲが濃いめだ。個人的にはもう少し薄いほうが好きである。
番外編としては元ひきこもり髭男爵と愛されキャラの具志堅用高をあげておく。憧れの対象としては見れないので、上記の「The ダンディー」というべき人たちと同列にはあげられませんでした。勘弁してくだせぇ。
ダンディズムがあまり感じられないヒゲ系有名人4選
要するにあまりヒゲ似が合ってないと感じる有名人といえば、個人的には森田剛、森山未來、トレエンの斎藤、イチローの4人だ。
共通しているのはみんな童顔であることである。おそらく、自分でも十分自覚しているため、貫禄をつけるためにヒゲを伸ばしているのだと思われる。が、残念ながらあまり似合っていない。
こう見ると、童顔×ヒゲは失敗するリスクがかなり高そうだ。水と油、日本酒とハンバーガー、うどんとチョコレートみたいなものである。
似合うかどうか以前に衝撃を与えるインパクト型ヒゲ系有名人2選
割りと強めの衝撃を受けたのが、メッシだ。あの童顔に昔のヨーロッパ貴族の肖像画から出てきたような豊かなヒゲが組み合わさると、インパクトが強い。テストステロン分泌しすぎだろ。
何かのメディアで初めて見たときは、ちょっと残念だった。メッシはヒゲがない方が圧倒的に好きである。あまり貫禄がついているとは思えない。あるいはこれは日本人的な感覚なのだろうか?ヨーロッパの人たちから見たら、何の違和感もないのだろうか?ヒゲに対する印象や評価は、国や文化によって違うのかもしれない。
そして、最近もっとも衝撃を与えたのが、東京湾岸署から保釈されたときの槇原敬之だ。インパクト激甚すぎて唖然とするしかなかった。ボロボロになった歯に白髪交じりの伸び放題になったヒゲの姿は、エッジが効きすぎて致死量をはるかに超えるインパクトだった。ヒゲは白髪交じりなのが余計に不潔感を強めている。もう一瞬でお腹いっぱいになった。
またメディアに登場する機会があったら、顔周りを程よく剃って頂きたいものだ。歌も声も大好きだし、音楽の素晴らしさは変わることはない。できる限り見た目も整えて、また心に響く歌声を聞かせてほしいと切に願っている。
ヒゲを伸ばすことで必ずしもダンディズムや男らしさが上書きされるとは限らない
こうやってヒゲ系有名人を見てみると、ヒゲを伸ばしているからといって必ずしも、ダンディズムや男らしさが上書きされるとは限らないってことにすぐ気がつく。やっぱり客観的に見て、その人に似合っているかどうかが最重要だ。
自分が好きで伸ばしていても、他者から見て明らかに不釣り合いだったり汚らしく見えているようだったら、ちょっと考えたほうが良さそうである。清潔感と直結するだけに、ヒゲを伸ばすなら毎日キレイに整えておくのが必須かもしれない。
僕の場合は、自分ではわりと似合っているのでは?と思ったのだが、童顔という特徴からみても客観的には似合っていない可能性は十分ある。ちょっと再考したほうが良さそうだ。